卵はその栄養価の高さと用途の多さから、多くの家庭で日常的に使用されています。料理はもちろん、お菓子やパン作りにも重宝されるため、ほとんどの家庭ではいつも冷蔵庫にストックしていることでしょう。
しかしながら、保存しておいた食品がいつの間にか賞味期限を過ぎていることは珍しくありません。そこで疑問が生じます。賞味期限を過ぎた卵は本当に食べられないのでしょうか?
本記事では、卵の賞味期限の設定方法、期限切れ卵の取り扱い時のポイント、そして卵を正しく保存する方法について、わかりやすく解説します。
場合によっては、賞味期限切れ1ヶ月の卵でも食べれます
卵の保存期間に関する一般的な誤解についてお話しします。多くの人が卵はすぐに腐ると考えがちですが、実はそれよりずっと長く持つんです。
卵は賞味期限を過ぎた後でも、必ずしもすぐに食べられなくなるわけではありません。賞味期限とは、生で食べる際の安全な期間を指すので、しっかり加熱すれば、期限を過ぎても食べることができます。
重要なのは、賞味期限にかかわらず、卵を冷蔵庫で10℃以下の低温で保管することです。さらに、殻にひびが入っている卵は、賞味期限がまだであっても、できるだけ早く加熱して使うことを推奨します。
賞味期限を過ぎて1ヶ月経っても、適切に保管され、調理されていれば、まだ食べることができることがあります。
卵の賞味期限とは生で食べられる期間のこと
生食用の卵の消費期限は、生のままで安心して食べられる時間を示しています。
この期間内はサルモネラ菌を含む細菌の増殖可能性が低いとされています。卵には、もともと細菌の増殖を抑える抗菌成分が含まれているため、抗菌作用が続く限り食中毒の心配は少ないです。この消費期限は、抗菌成分が効果的であるとされる期間をもとに決められています。
さらに、スーパーなどで販売される卵の場合、パックされた日からおよそ2週間が消費期限として設定されていることが多いです。
卵は賞味期限を1ヶ月過ぎても食べられることも
通常、スーパーなどで売られている卵の賞味期限は、パックされてから2週間程度に設定されています。これは消費者の安全を第一に考えた上での、比較的短い期限です。
しかし、実際には卵はもっと長い期間、生で安全に食べられることが多く、場合によっては賞味期限を1ヶ月以上過ぎても問題ないことがあります。
この背景には、サルモネラ菌の増殖速度が気温に大きく影響を受けることがあります。そのため、卵が生食可能な期間は季節によって変わります。特に寒い時期には、賞味期限を1ヶ月以上過ぎても大丈な場合もあるそうです。
日本卵業協会によると、季節によって卵の生食可能な期間は異なり、以下の通りとなっています。
夏(7月から9月) | 産卵後16日以内 |
春・秋(4月から6月・10月から11月) | 産卵後25日以内 |
冬(12月から3月) | 産卵後57日以内 |
消費者は通常、卵がいつ産卵されたかを知ることは難しいですが、例えば産卵から5日後にパックされたとすると、夏を除く他の季節では賞味期限を過ぎても食べられる可能性があります。
春や秋の期間では、賞味期限を過ぎてもさらに6日間は安全に食べられるとされています。冬季には、賞味期限を38日過ぎても問題ありません。
したがって、理論上、賞味期限が1ヶ月以上経過していても、特に冬季には卵を安全に食べることができるということです。
複数のテレビ番組で、卵の賞味期限について特集されています。例えば、NHKの「ガッテン」では、卵の適切な保存方法に関する専門家の意見が取り上げられました。その中で、卵は常温で約2ヶ月、冷蔵庫内であれば4ヶ月持つという研究結果が紹介されていたようです。
賞味期限切れ1ヶ月でも食べられかどうかの見分け方
冬場には、賞味期限を1ヶ月過ぎた卵でも食べられることがありますが、これは理論上の目安に過ぎません。卵を使う前には、必ずその状態をチェックして、食べられるかどうか判断しましょう。
ヒビが入った卵には注意しましょう
亀裂の入った卵は、消費期限が残っていても避けた方が賢明です。亀裂により卵内に空気が侵入し、細菌の増殖が促進されるため、安全性が保証されません。生での摂取は避けるべきです。
亀裂が生じてから1~2日以内ならば、十分に加熱することで食べられる可能性があります。しかし、それを超える期間が経過したり、亀裂がいつ入ったか不明な場合は、加熱しても摂取を控えるべきです。
水に浮く卵は要チェック!
時間が経った卵は内部に空気が溜まり、水に入れると浮くことがあります。水に沈む卵は通常、食べても安全だとされています。ただし、水に浮く卵でも、状況によっては食べられることがあります。
水に入れて浮いてしまった卵は、割って中身を見て、特に外見や匂いに異常がないかを確認してみるのが良いでしょう。
火が十分に通っていない卵は避ける
特にサルモネラ菌の感染リスクがあるので、賞味期限が過ぎた卵の生食は避けましょう。さらに、中までしっかりと火が通っていない半熟卵や温泉卵も、同じ理由から食べるのは控えるべきです。
賞味期限が過ぎた卵を安全に食べるには、茹で卵を作る時には黄身がきちんと固まるまでしっかりと加熱することが大切です。
臭いや色、状態を注意して確認する
卵が食べられるかどうか気になる時は、卵を割って確認するのが一番です。
もし卵を割った時に黄身が崩れやすく、白身が不均一な状態や黄身と白身が混ざって出てくるようであれば、鮮度が落ちている証拠です。
さらに、卵が腐ると黒く変色し強烈な臭いがするため、アンモニアや硫黄のような異臭がする場合も、腐敗のサインです。
そのような卵は食べずに処分するのが安全です。
賞味期限切れ1ヶ月の卵は必ず加熱すること
賞味期限が過ぎた卵を食べることは可能ですが、新鮮な卵と同じように安全とは限りません。賞味期限を過ぎた卵は、サルモネラ菌による食中毒のリスクがあるため、生で食べるのは避けた方が良いでしょう。食べる際には、卵をしっかりと加熱してください。
特に注意が必要なのは、半熟や温泉卵のように中身が液状のままの調理法です。これらは危険が伴うため、ゆで卵を作る場合は固茹でにし、中までしっかり加熱することをおすすめします。
できるだけ卵を新鮮に保存するには
卵の消費期限は、10℃以下で保管されることが前提で決められています。購入後はできるだけ早く冷蔵庫に保管することが推奨されます。
常温で保存しないこと!
実は、卵の品質は気温に大きく左右される食品です。特に、冬の方が夏に比べて生で食べることができる期間が延びることが、この事実を裏付けています。
多くのスーパーマーケットでは卵を常温で展示していますが、これは卵の表面に結露が生じるのを防ぐための措置です。購入した卵は、品質を維持するために家庭では冷蔵庫での保管が最適です。
冷蔵庫のドアポケットには保存せず奥に入れる
卵の保存には冷蔵庫が適していますが、その中でも冷蔵庫のどこに置くのか、その場所に注意が必要です。冷蔵庫のドア部分に卵を保管することはおすすめできません。
なぜなら、冷蔵庫のドアが頻繁に開け閉めされるため、その部分に保管された卵は一定しない温度にさらされがちです。特に、気温が高い時期には、この温度の変動が卵の品質劣化を早める可能性があります。
もし冷蔵庫のドアポケットに専用の卵入れがあっても、より安定した環境を提供するために、買ったときに入っているパックのまま冷蔵庫の奥に卵を保管することが望ましいです。これにより、卵を新鮮に保つことができます。
気室のある丸い方を上向きにする
卵を長持ちさせるための保管方法として、尖った方ではなく、卵の丸い方を上にして保管するのが良いでしょう。
このようにして卵を保管する理由は、尖った方が衝撃により強く、丸い方に位置する空気の空間「気室」を上向きにすることで、卵の内部を安定させ、卵黄が卵の殻に触れてサルモネラ菌が付着するのを防ぐためです。
スーパーマーケットで売られている卵は、大抵この方法でパックに入れられていますので、買った卵は元の向きのまま保管すると良いでしょう。
家で卵は洗わない
市販の卵を購入した際には、水で洗浄することは避けてください。
特に、保存する前に水で洗うと、卵の殻に存在する微細な気孔から細菌が内部に侵入するリスクがあります。
これは卵の腐敗の原因となり得るため、水で洗うことは控えるべきです。
卵を扱った後の手洗いの重要性
卵の表面にサルモネラ菌が存在する可能性は極めて低いですが、完全に除外することはできません。実際に、卵のうちわずか0.0029%がサルモネラ菌で汚染されているとされています。これは、10万個の卵の中で約3個が汚染されていることを意味します。
もちろん、この確率は低いですが、無視できないリスクが存在することを意味します。購入した卵が汚染されていないと断言することはできないからです。
そのため、サルモネラ菌から身を守る一つの方法として、卵に触れた後は確実に手を洗いましょう。
ゆで卵の消費期限と保存方法について
生卵は長持ちする食品ですが、ゆでた後の卵はどのように扱うべきでしょうか?
この機会にその保存方法についても学びましょう。
ゆで卵の消費期限は冷蔵庫で3~4日
一般的には、加熱によって細菌が殺菌されると考えられがちですが、ゆで卵の場合、実はその消費期限は意外にも短めです。
ご存知かもしれませんが、生卵には天然の抗菌作用があります。しかし、この抗菌性は生卵の白身に存在し、加熱すると失われます。
その結果、ゆで卵は雑菌の増殖を抑える能力を失い、早く傷む傾向にあります。
ゆで卵の保存期間は、温度によって変わります。例えば、固ゆで卵の場合、以下のような環境での保存期間が目安です。
5℃の環境 | 約2~3ヶ月 |
10℃の環境 | 約3週間 |
25℃以上の環境 | 約3~7日 |
ただし、これは理想的な環境下での期間です。一般的な家庭での冷蔵庫保存では、安全を考慮して3~4日以内に消費することをお勧めします。
ゆで卵を保存する場合は殻をむかずに冷蔵庫へ
ゆで卵を効果的に保存するためには、殻をむかないことが大切です。殻をむいてしまうと、保存期間が3分の1から2分の1に短縮されてしまうことがあります。そのため、殻をむかずに冷蔵庫に保存しましょう。殻をむいてしまった場合は、その日のうちに食べてしまうことをおすすめします。
また、殻にヒビが入った場合も注意が必要です。特にヒビがいつ入ったのか不明な場合は、その卵を食べないで廃棄することが安全です。ゆで卵を安心して食べるために、適切な方法で保存しましょう。
こんなゆで卵は食べてはいけない
危険なゆで卵の状態を把握することは非常に重要です。ゆで卵の新鮮さを確かめるためには、殻をむいたときの見た目や匂いに細心の注意を払う必要があります。
黄身や白身に不自然な粘りが見られたり、アンモニアや硫黄のような異臭がする場合、そのゆで卵は安全ではない可能性があります。また、白身に糸を引くような現象が見られる場合も、警戒が必要です。これらの兆候がある場合、そのゆで卵は食べないようにしましょう。
さらに、先述のように殻にヒビが入っていて、ヒビがいつ入ったのか不明な場合も、そのゆで卵を摂取しないことをおすすめします。
ゆで卵を保存したいときはフィリングにして冷凍を
時々、ゆで卵を作りすぎてしまい、しばらく保存しておきたい場合、ゆで卵をフィリングに変えて冷凍保存する方法がたいへん便利です。
ここで言う「フィリング」とは、卵ペーストのようなものを指します。ゆで卵を潰して、マヨネーズと塩コショウで味付けするだけで完成します。一回分ずつに分けて冷凍しておくと、後で使いやすくなります。
ゆで卵をそのまま冷凍すると、白身の食感が変わり、美味しさが損なわれることがありますが、フィリングに変えた場合、黄身と白身が組み合わさっているため、心配する必要はありません。この方法なら保存期間は約1ヶ月です。解凍すれば、サンドイッチやタルタルソースの材料としてすぐに利用でき、非常に便利です。
まとめ
身近な食べ物である卵ですが、その賞味期限や保存方法、生卵とゆで卵の扱いの違いなど、意外と知らなかったことがあったのではないでしょうか。いずれにしても新鮮かどうか不安な場合は、臭いや色、状態に問題が無ければ、黄身が完全に硬くなるまでゆでるか、フィリングにして食べるのが良いでしょう。
・卵の賞味期限は生で食べられる期間のこと
・生卵は冬の寒い時期なら、賞味期限を1ヶ月以上過ぎても食べられる場合があるが、加熱して食べた方が良い
・賞味期限を1ヶ月以上過ぎた生卵は必ず状態をチェックしてから食べられるか判断する
・ヒビが入ったり、水に浮く卵は臭いや色、状態を確認し、問題無ければ黄身が完全に固まるまで加熱してから食べる
・生卵を新鮮に保存するには、常温で保存せずに、購入したときのパックに入れたまま、冷蔵庫の奥に入れる
・家で卵は洗わない
・ゆで卵は殻をむかずに冷蔵庫で保存する
・ゆで卵はフィリングにして冷凍保存すると便利で長持ちする