納豆を考えると、世界で初めてこれを口にした人々の大胆さに驚かされます。見た目はまるで腐った豆。その糸を引く特徴も、何とも言えない印象を与えます。おそらく、試してみるときには周囲からの反対を押し切ったに違いありません。その外見は少々奇妙な粘り気を持っています。
しかし、この粘り気こそが、味わいと栄養の鍵となるのです。この粘り気をさらに引き出し、栄養価を高めるのが砂糖の役割。砂糖を加えることで味わいはどう変わるのか、また、砂糖を使う理由についても解説します。
納豆の粘り向上が味わいを深め、栄養面でも優れている
なぜ納豆の粘りが高まると良いのでしょうか?この点について簡単に説明しましょう。
納豆の粘りっていったい何なの?
納豆の特徴的な粘りの成分はいったい何なのでしょう?
この粘りは、主にグルタミン酸、フラクタン、ムチンという成分に由来します。納豆菌によるたんぱく質の分解がこれらの成分を作り出すプロセスです。グルタミン酸は味わいを高め、細い糸状の構造を形成します。フラクタンはこの糸状構造を強化する役割を持ち、ムチンも同様に粘りを持つ成分です。
さらに納豆の粘りには味を向上させる成分が豊富に含まれており、結果として、納豆の粘りはその美味しさと栄養価の両方を示す特徴なんです。
納豆に砂糖を入れると粘りが増す
驚くべきことに、納豆に少量の砂糖を混ぜ込むことで、その粘性が向上するのです。粘性が高まると、風味や栄養価が向上する可能性もあります。そこで、試してみることにしました。
納豆に砂糖を入れてみる
今まで一度も試したことがない、納豆に砂糖を入れるという少し珍しい実験?を試みました。
納豆一袋に、砂糖を少量(小さじ1/2程度)混ぜ込んでみました。通常通りに混ぜると、すぐにネバネバ感が増してきます。20回程度混ぜた後、ネバネバ感がいつもと異なり、少し固めになりました。箸を開くときには少し抵抗があります。
重要なのは味ですが、添付されていたタレとからしを加えると、意外にも美味しくいただけました。
砂糖醤油のような風味で、いつもより濃厚な味わいになります。砂糖の量は少量でも効果があり、お好みに合わせて調整すると良いでしょう。
実は、納豆に砂糖を加える方法は、新潟や北海道など寒い地域でよく知られている食べ方です。これらの地域では、大さじ1以上の砂糖を入れることもあるそうです。
砂糖を加えると納豆の粘り気が増す理由
先に触れた通り、納豆特有の粘り気は納豆菌によるたんぱく質の分解作用が引き起こすグルタミン酸やムチンの生成に起因します。砂糖はこの納豆菌の成長を促す栄養源となります。
砂糖を加えると、納豆菌はより活動的になり、グルタミン酸やムチンをより多く生成します。
この影響で、粘り気が増し、味わい深く栄養価の高い納豆が生まれるのです。
塩を加えても納豆の粘りが増す
驚くことに、納豆に塩を加えるとすぐに粘り気がより強くなるということです。私自身はまだこの方法を試していませんが、砂糖を使うよりは気軽に試せそうだと感じています。
塩を加えた納豆の粘り気が増す理由
納豆に塩を混ぜることで、粘り気が急速に強まる現象が見られます。
この現象の背後には、納豆に含まれる植物性たんぱく質が塩に反応しやすい特性が関係しています。塩が追加されると、納豆の表面にあるたんぱく質が速やかに溶け出し、結果として粘りが早く現れます。
軽くかき混ぜるだけで、納豆はすぐに強い粘りを示し固まります。さらに混ぜ続けると、塩によるたんぱく質のさらなる溶解が促進され、滑らかな粘りへと変わります。
この状態の納豆は他の食材と組み合わせやすくなり、特にうどんやパスタとの相性が良いです。
納豆の粘りを増やすには何回混ぜればよいのか
納豆を混ぜる際、どのくらいの回数が理想的なのか、多くの人が疑問に思うことでしょう。
この点に関しては、さまざまな見解が存在します。
一部の意見では、混ぜるほど良く、少なくとも100回は混ぜることが推奨されるとのことです。一方で、過度な混ぜ方は逆効果との見方もあり、30回から50回の混ぜが適切とする意見もあります。どうやら、これは個人の好みによる部分が大きいようです。
あなたにとって最も適した混ぜ回数を見つけてみるのが良いでしょう。
納豆の粘りを増やしたのなら、タレはかき混ぜてから入れる
納豆のネバネバを最大限に引き出すには、調味料の加える順序がカギです!
より粘り気を増すためには、納豆をしっかりかき混ぜた後にタレやからしを加えるのがおすすめ。
納豆を先にかき混ぜずにタレやからしを加えてしまうと、納豆のグルタミン酸が水分と結びついてしまい、粘り気が出にくくなります。
その結果、納豆本来の美味しさも減少してしまいます。
最適な味わいを楽しむためには、納豆をかき混ぜた後にタレを加えることを心がけましょう。
薬味で納豆をさらに美味しく栄養豊富に
納豆はその栄養価の高さで知られ、健康に良い食品です。これをさらに美味しくするためのおすすめの薬味をご紹介しましょう。普段とは異なる薬味を試すことで、納豆の新しい味わいを楽しむことができますよ。
ねぎ
納豆に長ネギを刻んだものを混ぜ込んで食べるととてつもなく美味いおかずになります!ネギは、β-カロテン、ビタミンC、鉄などの栄養素を含みます。
のり
海苔の佃煮を加えると、料理が一層美味しくなります。海苔には、昆布に含まれる「グルタミン酸」、鰹節由来の「イノシン酸」、さらにしいたけの「グアニル酸」といった、さまざまなうまみ成分が豊富に含まれています。これらの成分は、それぞれ単独よりも組み合わせることで、さらに深い味わいを生み出します。
しそ
納豆に刻んだ大葉を加えると、爽やかな香りがプラスされて食欲が湧いてきます。朝食や、食欲があまりない時でも、さっぱりといただける一品です。しそにはミネラル分が多く、特にβ-カロテン、ビタミンB2、カルシウムなどの栄養素を含みます。
卵と納豆をいっしょに食べるのはよくないと言われていますが、実は絶対NGというわけでもないです。
最後に
寒冷地では納豆の発酵が遅れるため、砂糖を加える習慣が生まれたと言われています。
それにしても、最初に納豆に砂糖を入れた人は本当に勇敢だと感じますね。何か新しいことを始める人々は、その先見の明に感嘆します。