ある日、キッチンを整理していたら、なんと冷凍庫の奥から一年前のアイスクリームが出てきた!なんてことはないでしょうか?
子どもがいる家庭や、ギフトとして受け取ることが多い家庭、あるいは単に大量に購入してストックしている家庭では、こんなことが起こりがちかもしれません。
この発見に驚いて、何気なくアイスのパッケージをじっくりと見てみると、賞味期限の記載が見当たらないことに気付きます。 そういえば、これは一年ほど前に買ったものだったような…
賞味期限が明記されていないアイスクリームだけれど、一年も前のアイスを食べても問題ないのでしょうか?
大事なのは自分の健康。この疑問について調査してみることにしました。
アイスって賞味期限がない?なぜ?
ほとんどの食品には、消費期限や賞味期限が設定されていると一般には思われがちですが、それが必ずしも当てはまるわけではないんです。私自身もこの事実には驚かされました。
実は、アイスクリームの場合、通常、賞味期限は設けられていないんです。(もちろん、例外もありますが、それは後ほど。)
「え、本当に?アイスって乳製品を使ってるんだよね?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
では、アイスクリームになぜ賞味期限が設定されないのか、その理由をご説明しましょう。
なぜアイスクリームには賞味期限が記載されていないのか
例えば「雪見大福」のパッケージには賞味期限の記載が見当たりません。記載されているのは、おそらく製造番号でしょうか?
ピノや雪見だいふく、パピコ、あずきバー、白くま、サーティワンなどのアイスクリームを含む多くのアイス製品にも、賞味期限の記載はありません。
アイスクリームに賞味期限が記載されていない主な理由には、以下の二つがあります:
・日本の賞味期限表示に関する規則
・アイスクリームの保存温度
日本では、賞味期限の表示に関する規則により、「品質がほとんど変わらない加工食品については、賞味期限を記載しなくても良い」とされています。
アイスクリームの場合、-18度以下の冷凍保存により細菌の繁殖が阻害されるため、品質の劣化は非常に少なく、そのため賞味期限の記載が不要とされています。
この低温保存の状態においては、細菌の増殖に必要な要素である栄養素や水分、適切な温度が不足するため、アイスクリームは細菌の増殖がしにくくなっています。
市販されている一般的なアイスクリームに含まれる成分としては、乳製品、砂糖、チョコレートに加え、乳化剤や安定剤などがあります。これらの成分は冷凍状態での変化が少ないため、適切に低温(-18℃以下)で保管されている限り、品質が保たれます。(※ロッテ アイス Q&A お客様相談室 参照)
多くの人にとって、品質が劣化しないために賞味期限の表示が不要なことは驚きかもしれません。
低温での保存により品質が長期間保持されるため、アイスクリームには賞味期限の記載がないことが一般的です。これは納得のいく説明ですね。
しかし、賞味期限が設定されているアイスクリームも市場には存在します。
賞味期限が設定されているアイスクリームの期限はどのくらい?
2020年6月以降、明治ブランドのアイスクリームパッケージに消費期限が明示されるようになりました。具体的には、明治スーパーカップの裏面に消費期限が印刷されているのを確認できます。この期限は購入日から約2年間と推測できます。
また、千疋屋ブランドのアイスクリームに関しては、製造日から冷凍保存した場合1年間が消費期限とされています。一方で、ある店舗で作られた自家製ジェラートには消費期限の表示がなく、店舗によってはこのような表示を省略していることがあります。
シャトレーゼのアイスクリームにも消費期限が設定されており、これは商品の新鮮さと美味しさを保つための措置です。(※シャトレーゼ 参照)
そして、冷凍庫で長期間保存していたアイスクリームを見つけた経験は、多くの人が一度はあるでしょう。私も学生時代に一人暮らしの友人宅で、1年以上前のアイスクリームを冷凍庫で発見したことがありました。
このような長期間保存されたアイスクリームがまだ食べられるのかについても、詳しく調査しました。
一年前のアイスクリームを食べるのは安全か?
一般に、アイスクリームには消費期限が設定されていないため、-18度以下で適切に保管されていれば、安心して食べられます。したがって、1年前に購入したアイスを冷凍庫で見つけても、適切に保存されていれば問題はないと考えられます。
この考えに基づくと、-18℃以下で適切に保存されているアイスは、2年前や10年前のものであっても食べることが可能です(ただし、実際に食べるかどうかは別の話です)。
しかし、冷凍庫の奥で見つかったアイスが次に説明する状態になっている場合は、食べるのを避けた方が良いでしょう。
食べるのを避けた方が良いと思うアイスの状態
アイスクリームは賞味期限が長いことで知られていますが、それでも美味しさが損なわれることがあります。そんな時に気をつけるべきアイスクリームの状態をお伝えします。
・大量の霜が付着している
・水分が失われてパサパサしている
・なめらかさが失われ、粗い食感になっている
・口当たりが粉っぽく不快な感じ
・色が変わっている
家庭の冷凍庫は頻繁に開け閉めされるため、アイスクリームを最適な-18度で保つのが難しいことがあります。このような環境では、アイスクリームが品質を維持するための温度を保てないため、劣化する可能性があります。
アイスに霜が付き、食感がジャリジャリした場合
アイスクリームの表面に白い氷の結晶が見られる場合、その食感はカサカサしていたり、粗くなることがあります。これらの氷の結晶が多く付いている場合、アイスの風味が損なわれるため、食べるのを避けた方が良いかもしれません。
このような現象は、アイスクリームが一度溶けてしまい、その後再凍結する(ヒートショック)と発生します。さらに、氷の粒が蒸発して再度凝結することも原因となります。また、再凍結する過程で氷の粒が大きくなり、ざらざらとした食感を引き起こすことがあります。
アイスクリームがざらついていたり、ボソボソで粉っぽい
古いアイスクリームを食べるとざらつきやぼそぼそ感、粉っぽさを感じることがあるのは、乳糖が一度溶け出して再度凍結することで分離し、品質が落ちている可能性があるためです。
特に高い乳脂肪分を含むアイスクリーム、例えばハーゲンダッツのようなブランドでは、この現象が起こりやすいです。これらの食感の変化があっても食べることはできますが、高品質なアイスクリームの滑らかな食感が失われると、その美味しさも低下することがあります。
アイスクリームの色が変わっている場合
通常はクリーム色のアイスクリームがオレンジっぽく見えることがあります。色がいつもと異なる場合、少々の変色であれば食べても大丈夫ですが、色の変化が激しい場合は食べるのを控えた方が安全です。
例えば、スーパーカップのアイスがオレンジ色に見えるのは、乳脂肪分と水分が分離し、色が濃くなっている可能性があります。これはアイスが解凍されて再び凍結した結果で、品質が落ちている可能性があります。
アイスクリームの包装がパンパンに膨らんでいる場合
冷凍庫でアイスクリームの包装が異常に膨らんでいることがあります。このような場合、パッケージが膨らんでいても、異臭や色の変化がなければ食べても問題ありません。(※森永乳業 参照)
アイスの表面にある微細な氷の粒が、保存方法により気体に変わる(昇華現象)ため、袋内の空気が膨張するのが原因です。つまり、膨らんでいる部分には空気と水蒸気が含まれています。
今まで述べたように、霜がたくさん付着していたり、質感がザラザラ、ボソボソしていたり、色が少し変わっていても食べることはできます。しかし、アイスクリームは嗜好品なので、味が良くなければ意味がありません。
このような状態のアイスクリームは、廃棄することをお勧めします。品質が落ちたアイスクリームを食べる際は、見た目や匂いをよく確認してからにしましょう。(※最終的な判断はご自身でお願いします。)
家庭で作ったハンドメイドのアイスの賞味期限は?
これまで私たちは市販されているアイスクリームの保持期間に焦点を当ててきましたが、自宅で作ったアイスクリームの保持期間についても調査してみました。
自宅で作るアイスクリームを適切な冷凍環境(マイナス18度以下)で保存すると、基本的には保持期間に限界はありません。しかしながら、自家製アイスクリームには保存料が含まれていないため、また家庭用の冷蔵庫は一日に何度も開け閉めされがちで、温度の変動が大きいことが多いです。
これらの要因により、たとえ保持期間に限界がないとされていても、品質の劣化が早まる可能性があるため、早めに消費することをおすすめします。
自家製アイスクリームは、作成から約1週間以内に食べることが最適と考えられます。保存方法は重要ですが、材料の選び方やアイスクリームの作り方も同様に重要です。
例えば、バニラアイスクリームを作る際には、新鮮で清潔な牛乳、砂糖、卵、バニラエッセンスなどを使用することが重要ですし、特に卵を使用する際は、衛生に特に注意を払い、アイスクリームを安全に作ることが大切です。
なお、サルモネラ菌は-18度でも死滅しない可能性があることを留意してください。(※国立感染症研究所感染症情報センター 参照)
最後に、自家製アイスクリームを長持ちさせるための最適な保存方法についても調査してみました。
自宅でアイスクリームを上手に保管する方法
時々、アイスクリームが割引されていて、つい多く購入してしまうことはありますよね。スイーツを愛する人々にとっては、消費期限の心配がなければ、お得な時に多めに購入し、いつでも家で楽しみたいものです。
この項目では、自宅でアイスクリームを適切に保管する方法をお教えします。
基本的な保管方法(未開封の場合)
(1)冷凍庫の温度は-18度以下に保つ
(2)冷凍庫の扉は迅速に開閉する
(3)アイスクリームは他の食品の匂いを吸収しやすいので、他の食品とは分けて保管するか、プラスチックの袋やラップで包んでジッパーバッグに入れる
開封後の保管方法
(1)アイスクリームの表面を滑らかにする
(2)しっかりと密封して保管する
(3)一度溶けたアイスクリームは再び凍らせない(味が劣化するため)
この方法で保存すると、美味しく食べれるので、ぜひ試してみてください。
多くのアイスクリームには賞味期限が設定されていないものの、一部には賞味期限が存在します。賞味期限が記載されていない場合でも、10年以上前のアイスクリームは避けた方が良いでしょう。
また、アイスクリーム以外にも、賞味期限が記載されていない食品があるか気になり、調べてみたところ
・砂糖
・塩
・チューインガム
・うまみ調味料(粉末がサラサラしている場合は問題なし)
アイスクリーム以外にも、これらの食品には賞味期限が設けられていないことが多いようです。
最後に
この記事では、アイスクリームが通常賞味期限が設定されていない理由、特定の状態のアイスを食べるべきではない理由、そして家庭での適切な保存方法について詳しく解説しました。
驚きなのは、一般的なアイスクリームには賞味期限が記載されていないことと、適切な保存状態であれば長期間保持されるという点です。また、一部のブランドでは消費期限が設定されており、それが製品によって異なることも興味深いですね。
(1)アイスクリームの賞味期限:
多くのアイスクリームには賞味期限が記載されていない。その理由は、日本の規則により、品質が変わらない加工食品には賞味期限の記載が不要で、-18度以下で保存されたアイスは品質が保たれるため。
(2)特定ブランドの消費期限:
明治ブランドのアイスは消費期限が約2年。千疋屋ブランドのアイスは製造日から1年間が消費期限。
(3)食べるのを避けるべきアイスの状態:
大量の霜が付着している。パサパサしたり、粗い食感。口当たりが粉っぽく、色が変わっている。
(4)家庭で作ったアイスの保持期間:
自家製アイスは、保存料が含まれていないため、早めに消費することが推奨される。保存方法にも注意が必要。
(5)アイスクリームの適切な保管方法:
未開封の場合、冷凍庫で-18度以下に保つ。開封後は、表面を滑らかにしてしっかりと密封する。
(6)賞味期限がない他の食品:
砂糖、塩、チューインガム、うまみ調味料などにも賞味期限が設定されていないことが多い。