インスタントラーメンの定番アイテムといえば、別添えされた「かやく」ですね。この小さなパッケージは、一見地味なインスタントラーメンに具材と色どりを加える役割を果たしています。では、「かやく」とは具体的にどんな意味を持っているのでしょうか。
インスタント食品の中でも特にポピュラーなインスタントラーメンには、乾燥した野菜や肉などが小袋に封入されています。「かやく」と聞くと、なんとなく「火薬」を連想するかもしれませんが、実際にはどんな意味があるのでしょうか。
どうやら「薬味を加える」に由来しているらしい
「かやく」は「火薬」を平仮名にしたものでもなければ、ネット上を中心に流布する「乾燥野菜くずの略称(か・や・く)」説も正しくありません。
「『かやく』は漢字で『加薬』。これは『薬味を加える』ことから来ているとされ、主にはラーメンやうどんなどに入れる具材を指しています」
料理には、微妙な風味を添えるために使われる香り高い野菜やスパイスがあります。 これらを一緒に口にすることで、料理の味わいが深まり、より引き締まった味わいになります。かつて中国の古典的な書物である「神農本草経」には、食べ物には五味(甘味、苦味、酸味、辛味、塩味)があり、それぞれが身体に異なる効能をもたらすとされています。
この考え方から、「五味」が料理に用いられる香り付けの要素である「薬味」として知られるようになり、様々な料理に取り入れられるようになりました。 また、「かやく」という言葉も類似した概念であり、漢字で「加薬」と書かれます。 これは、主要な効果を引き出すために料理に追加される香り付けの要素を指す漢方用語です。 そのため、薬味とかやくは同じものと見なされることがあります。
一説によれば、日本では室町時代頃、漢方薬の材料であるショウガが「加薬」と呼ばれていたとされています。江戸時代の文献には、ネギや山椒などの香辛料全般が「加薬」と記されており、栄養豊富な食材(薬効があるとされるもの)をご飯に混ぜて炊いた「加薬ご飯」も登場しました。その後、「かやく」という言葉は具体的な材料を指すのではなく、料理の具材全般を指す言葉として使用されるようになったとされています。
視覚でも楽しむ食の要素
日本で「トッピング」として注目を浴びるようになったのは、世界で初めて登場した日清の「カップヌードル」が1971年に発売された時でした。この「トッピング」には肉、海老、卵などが含まれ、これらはカップ麺の風味と栄養バランスを向上させるだけでなく、見た目の彩りにも貢献し、「視覚でも楽しむ食の要素」としても重要な役割を果たしています。
現在、インスタントカップ麺には、さまざまな具材が「かやく」として使用されていますが、これらの具材が「かやく」と認められるためには、特定の条件が存在します。日本農林規格の第2条によれば、「かやく」とは「ねぎ、メンマなどの野菜加工品、もちなどの穀類加工品、油揚げなどの豆類の調整品、チャーシューなどの畜産加工食品、わかめ、つみれなどの水産加工食品、天ぷらなど、めんおよび添付調味料以外のもの」と定義されています。
カップ麺の昔のランキング方法、かやくの量に秘密があった!
以下の情報は純粋なトリビアですが、かつてのカップ麺は、かやくの量に基づいてランク分けされていたことがあったそうです。
・麺の重量に対してかやくの量が6%以上の場合は「標準」
これらの規格はJAS(日本農林規格)によって定められていましたが、現在ではこの制度は廃止されています。
偶然にもかやくに関する歴史を調査してみると、日本人は独自の視点で外部の要素や言葉、文化を受け入れ、それを変容させていく傾向があることがわかります。
さまざまな分野で同じことが言えるでしょうが、これが日本人の面白い特徴の一つかもしれませんね!