カレーを作るとき、時々薄くて水分が多すぎることがありますね。水分過多のカレーは、ご飯にしっかり絡まないので、なんとなく満足できない気持ちになることも。
そんな時は心配無用です。薄めのカレーをしっかりとした濃厚な味わいに変える方法があります。
この記事では、サラサラなカレーをドロドロにする8つのテクニックと、
反対にドロドロのカレーをサラサラにする3つの方法を紹介します。
サラサラのカレーをドロドロにする方法
カレーをドロドロに変えるための手法は多様に存在します。
この記事では、その中から8つの手法を選び出し、紹介します。どれも実行しやすいものなので、自分に合った方法を選んで試してみてください。
水で溶いた片栗粉を入れる
実は昭和の前半~半ばころまで家庭でカレーを作るには、現代のようにカレールウを購入して作るのではなく、小麦粉とカレー粉を炒めてカレールウから作っていたそう。そのため、シャバシャバのサラサラになってしまうことも多かったそうです。
そんなとき、おばあちゃんたちが実践していたのが、水溶き片栗粉を加えるという方法。ご存じのとおり、どんな料理も水溶き片栗粉を加えれば、とろみがつきます。このときのポイントは、水溶き片栗粉を入れる際は、一度火を止め、水溶き片栗粉を入れて全体を混ぜたら、もう一度よく沸騰させることです。
水で溶いた小麦粉を入れる
カレールウは、カレー粉と小麦粉を組み合わせて作られます。
この小麦粉のおかげで、カレーには適度なとろみが生まれます。もしカレーがサラサラの場合は、水で溶いた小麦粉を加えると良いでしょう。
小麦粉と溶かしたバターを混ぜてから入れる
この方法では、小麦粉を使って料理にとろみを加える点は同じですが、水の代わりにバターを用いて混ぜることで、料理に豊かな風味を加えることができます。
この技法は「ブールマニエ」として知られており、フランス料理でとろみを付ける際に頻繁に使用されます。
作成手順は以下の通りです。
- まず、バターを耐熱性の容器に入れ、電子レンジで溶かします。
- 次に、溶かしたバターに小麦粉を加え、しっかりと混ぜ合わせます。
- バター10gに対して小麦粉は大さじ1が適量です。
カレーの量に合わせて調整し、加えてみてください。
チーズを入れる
料理にチーズを加えることで、料理にクリーミーな食感が加わり、チーズ特有の風味と塩気が味わいを豊かにします。
ピザ用チーズでも、粉チーズでもどちらも使用可能です。しかし、大量の料理にチーズを使ってとろみを出そうとすると、必要なチーズの量も多くなります。
それにより塩分の量が多くなる可能性があるので、小量の料理にチーズを加えるか、他の方法を組み合わせるのが良いでしょう。
すりおろしたじゃがいもを入れる
カレーが翌日になると、とろりとした質感に変わる現象は、じゃがいもが溶け込むことによるものです。
即座にカレーをとろっとさせたい時は、すりおろしたじゃがいもを混ぜ入れるのが効果的です。この方法で、じゃがいものデンプンがカレーに溶け出し、なめらかな厚みを与えます。
カレーが水っぽくなるのを防ぎたい場合、じゃがいもの選択が重要です。男爵種のじゃがいもは、メイクイン種よりも煮崩れやすく、カレーに溶け込みやすいため、理想的な選択と言えます。
こうすることで、じゃがいもがカレーに溶け合い、望むとろみを手軽に得ることができます。
つぶしたバナナをいれる
もしカレーが予想以上に辛くなってしまったら、特に子供が食べる際には、バナナを潰して加えることを試してみてください。
これによりカレーに滑らかな厚みが生まれ、甘さが増して子どもたちも食べやすくなるはずです。
蓋をしないで煮込んで水分を無くす
カレーがサラサラになる主な原因は、ルウと水の割合が不均衡であることにあります。時間が許すのであれば、蓋をせずにじっくりと煮ることで、不要な水分を蒸発させるのが良いでしょう。
カレールウを追加する
カレーが薄く感じる原因は、液体の量が多く、ルウが不足していることにあります。これは、水が多すぎるためにルウが足りないとも言えます。
カレールウが手元にある場合、少しずつ加えて味を調整するのが良いでしょう。ルウを加えた後は、十分に加熱することが重要です。カレールウを入れる際は、火を止めてから溶かし、その後しっかりと加熱することで、適切なとろみを出すことができます。これは水溶き片栗粉を使用する際と似ています。
なぜドロドロのカレーにならなかったのか?
もしサラサラのカレーをドロドロに変えることができたとしても、今回のカレーがどうしてそうなったのかを理解することは重要です。次にカレーを作る時に同じミスを避けるためにも、原因を把握しておくべきです。
水分が多すぎた
カレーがサラサラになる一般的な理由は、カレールウに対する水の量が過剰であることです。自分ではそんなに水を加えた記憶がない、いつも通りの手順で調理したはずなのに、と感じることがあるかもしれません。
この場合、使用した野菜が予想以上に水分を放出した可能性があります。特に、水分を多く含む新鮮な季節の野菜やトマトを使ったときは、これらの野菜からの水分が増え、結果的にカレーが薄まりやすくなります。
はちみつを入れるタイミングを間違えた
カレーの辛さを調整するためには、ハチミツが効果的です。この甘い添加物を加えることで、カレーの辛さがマイルドになります。
ただし、ハチミツを加えるタイミングは非常に重要です。間違ったタイミングで加えると、カレーの質感が薄くなってしまう恐れがあります。
最良の方法は、カレールウを入れる前にハチミツを加えることです。カレールウが入った後にハチミツを加えると、ハチミツに含まれる「アミラーゼ」という酵素が、ルウのとろみを出す主要成分であるデンプンを分解してしまいます。
ハチミツをカレーに加える際は、カレールウを投入する前に行い、その後20分以上煮込んで、アミラーゼを完全に無効化することが重要です。
ルウをきちんと煮込んでいない
料理に適切なとろみを得るためには、ルウを入れた後の加熱が重要です。鍋がしっかり沸騰するまで温め、製品のパッケージに書かれている指定の調理時間を遵守することが大切です。
ドロドロになったカレーをサラサラにするには?
カレーが予想以上に濃くなってしまった場合の対処法です。
水かブイヨンを少しずつ加えることで、理想のとろみを手に入れることができます。
水を追加する
カレーがドロドロになってしまった場合、これはルウに対して水分が不足していることが原因です。カレーを薄める最も基本的な方法は、水を足すことです。
カレーの状態を確認しながら、適量の水を加えてみてください。
牛乳または豆乳を入れる
カレーの粘度が高すぎるときに、牛乳や豆乳を混ぜ込むと、その問題を改善することができます。また、カレーの風味がより柔らかくなります。
私自身、このテクニックを頻繁に使用しています。思い切って加えても風味が薄れることは少ないですが、様子を見ながら調整することをおすすめします。
トマトジュースを入れる
トマトを用いてカレーを作ると、風味が豊かになります。カレーの固さが気になる場合、トマトジュースを加えてみることをおすすめします。これにより、とろみを適度に調節し、風味を向上させることができます。
トマトジュースが手元にない時は、代わりに野菜ジュースを使っても良いでしょう。また、カレーを少し甘くしたい時には、りんごジュースの添加を試してみるのが良いです。
カレーが辛くなり過ぎた!または味が薄い場合は
カレー作りは時に思い通りにいかないものですね。手作りカレーが予想以上に辛かったり、味が薄かったりしたら、どのように対処するのがベストでしょうか。
辛いカレーをマイルドにする方法
予想以上に辛いカレーに対処する方法です。特に、子供向けに辛さを和らげたい時があるでしょう。甘みを加える一つの方法として、りんごやバナナを潰してカレーに混ぜるのが効果的です。
もっと子供向けに甘くしたい場合、ジャムやコーンスープの粉末を使うと良いでしょう。辛さを少し和らげるためには、牛乳やヨーグルトを加えることもおすすめします。
味の薄いカレーを濃くするには
カレーを試食した際に味が薄いと感じたら、多くの場合は塩味が不足しています。カレールウを追加するのも良いですし、味を深めるためにコンソメ、ウスターソース、または粉チーズを加えてみるのがおすすめです。焼き肉用のソースを使うのも一つの手です。
日本のカレーがドロドロな理由
インドやスリランカのカレー店では、日本の家庭用カレーのようにドロドロではないことが多いです。インドのカレーは比較的サラサラしていますが、日本のカレーはなぜドロドロなのでしょうか。実はこれには、主に二つの理由があります。
イギリス経由で伝来した
日本にカレーが伝わったのは、インドから直接ではなくイギリス経由でした。インドが17世紀にイギリスの植民地だった時代、イギリス人がインドのカレーに親しむようになり、イギリス本国にも伝わりました。
イギリスではカレーが地元の好みに合わせてアレンジされ、19世紀半ばには小麦粉を加えることでとろみを持たせたカレーが登場しました。
このスタイルのカレーが明治時代に日本に伝わり、日本のカレー文化が形成されました。その結果、日本のカレーは小麦粉の効果でとろみがある濃厚なものになりました。
軍隊食として普及
カレーが日本に伝わった後、明治時代には洋食店での定番メニューとなり、やがて大正時代には軍隊食としても普及しました。スパイスを豊富に使ったカレーは長期保存に適していたため、軍での食事として理想的でした。イギリス海軍でもカレーは軍隊食だったため、明治時代の日本海軍がこれを取り入れたのです。
イギリス海軍はカレーをパンと共に食べていましたが、日本海軍では米との相性を重視し、徐々にご飯にカレーをかけて食べるようになりました。ご飯に合わせるため、よりとろみのある濃厚なカレーが好まれました。
また、船上で食べる際にこぼれにくいよう、とろみのあるカレーが適していたという理由もあります。現在でも、海軍では金曜日がカレーの日として定着しており、カレーは海軍文化の重要な一部となっています。